IMFの資金基盤強化、中国のメリットとは(人民網日本版から引用)

ヨーロッパにお金ちょうだいキャンペーン5月公演は、中国などのスポンサーで乗り切る予定なのか。

引用開始
 国際通貨基金IMF)の資金基盤強化がこのほど成功を収めた。G20IMFの資金基盤を4300億ドル(約35兆円)強化することで合意し、中国も「欠席することはない」と積極的に応じた。IMFクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、「IMFの資金基盤を強化し、ユーロ圏の主権債務危機に対応する」と発言した。人民日報海外版が報じた。

 ◆国際的責任を担う

 ユーロ圏諸国は2000億ドル、日本は600億ドルの提供を決定しており、最大の貢献国となっている。中国の出資金額は未定。

 中国がIMFに出資する理由について、中国社会科学院金融所銀行研究室の曾剛主任は、「先進諸国が出資を決めており、発展途上国も応じる構えだ。IMFは世界的な機構であり、資金増加により金融危機への対応能力を高める必要がある。中国はIMFの加盟国であり、責任を担う大国である。資金提供は国際的義務であり、国際的責任を担うため必要な行動である」と指摘した。

 IMFでより大きな発言権を得ることが、発展途上国の資金提供の動機と見られている。各国は2010年、IMFの出資比率で合意に至り、今年10月のIMF総会まで改革を完了することとなった。改革が完了すれば、新興国を含めた発言権・代表性が低い国家に対して6%以上の比率を移譲し、先進国のシェアが計57.7%に低下する。また中国の投票権も米国と日本に次ぐこととなる。しかし同改革には遅れが生じている。

 中国中央銀行中国人民銀行)は、「IMFは出資比率を基礎とする組織であり、資金基盤強化は同比率を基礎としなければならない。IMFは各国に対して、改革プランの審査・批准を直ちに完了させ、今年10月の総会まで期限通り完了させるよう促すべきだ」と表明した。

 中央財経大学の郭田勇教授は、「中国やロシア等のBRICs(ブリックス)各国の対応は、IMF等の国際金融機関の改革の遅れに不満を示すものであり、自国の発言権を増すための積極的な動きとも取れる。IMFの出資比率改革と資金基盤強化による結果は、各国の力比べを通じて導き出される。しかし中国などの新興国が、自らの主張を容易に取り下げることはない」と分析した。
◆各国の協力

 世界経済は低迷を続けており、これを脱するには各国の協力が必要だ。IMFによると、出資額を公表した国家による総額は3623億ドルに達した。総額が4300億ドルとなることから、中国、ロシア、ブラジルインド、インドネシア、マレーシア、タイ、その他の具体的な出資額を公表していない国家が、計677億ドルを提供することになる。一部報道は、中国が600億ドルを出資すると予想した。

 ◆欧州救済、中国のメリットとは

 これらの資金がいかに使用されるかが注目されている。情報によると、これらの資金は時限的な融資や、加盟国によるIMF債券購入により拠出され、IMFの「一般資金口座」に組み込まれる。IMFは、「全加盟国が利用可能であり、特定地域に限定されるものではない」と強調した。しかしアナリストは、「短期的・長期的に見ても、IMFによる資金援助を最も必要としているのは、世界経済の最大のリスクが存在する欧州である」と指摘している。

 曾主任は、「IMFの欧州救済に当たり、資金提供により間接的に救済に参加することは、中国にとってもメリットがある。EUは中国の最大の貿易パートナーであり、経済が破綻すれば中国に与える影響も深刻である。世界は現在、相互依存を強めており、他国を救済することは自国を救済することになる。世界は弱肉強食の社会ではなく、バランスを重視しなければならない。大国は自国の利益のみを求めてはならず、自国が担うべき国際的責任を重視するべきだ」と指摘した。(編集YF)

 「人民網日本語版」2012年4月24日
引用終了