【インタビュー】与謝野馨氏、東電国有化に反対(WSJ日本版から引用)

東電は第二のりそなになるかもしれない。

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【東京】現与野党の両方で閣僚経験のある与謝野馨氏は、政府が東京電力を改革できるか疑問を表明し、国有化に批判的な姿勢を明確にした。

与謝野氏はダウ・ジョーンズ経済通信との29日のインタビューで、電力事業を監督する経済産業省について、「電力業界を統制しようなんていう色気は出さないほうがいいと私は思っている」と述べ、「そういう能力があるとは思えない。技術的に何も知らないのだから」と続けた。

 昨年、菅内閣で経済財政担当相を務めた人物として知名度が高い与謝野氏は、電力業界との関係が深く、日本原子力発電の出身。与謝野氏は、日本の原子力産業の発展に尽力した人物として知られる中曽根元首相の秘書として、1960年代後半に政界に飛び込んだ。

 東電は福島第1原発事故の被害者に対する数兆円の損害賠償に直面しており、政府による支援が不可欠。枝野幸男経済産業相は、政府が東電の議決権の過半数を獲得しない限りは公的資金の注入はない方針を表明、東電の賠償金支払いが進んでいないことなどを理由に、経営陣の刷新を求めている。

 しかし与謝野氏は、東電のトップに電力業界以外から人材を起用することに疑問を表明。すぐに電力会社を運営できるような外部の人材がいるとしたら知りたいものだとし、「実際はものを分かった人が仕事をやらないと、失敗する」との認識を示した。

 東電の電気料金引き上げについては、「どういう格好にしても、税金投入するか、電気料金で頂くかしないと、電力会社は運営できない」と、支持する考えを明らかにした。

 自由化や競争で電気料金を下げることができるという見方については、高い燃料を輸入しなければいけない以上、日本の電力料金は簡単には下がらないとの認識を示した。

 原発事故の賠償負担をめぐっても、東電には責任がないと強調。原子力損害賠償法3条では、巨大な天災地変または社会的動乱によって生じたものであるときは原子力事業者は免責されると記されている、と指摘。政府は「あの津波が予測できなかったことを東電のせいにしている」とし、さらに、「国が前面に立って損害賠償をちゃんとやらなきゃいけない。責任だけ逃げた」と続けた。

 与謝野氏はさらに、昨年以上に「今年の夏は大電力不足になる」と懸念している。国民の反対を受け、国内の原発のほぼ全部が稼働停止状態となることから、今夏は電力の供給不足が一段と深刻になることが予想されている。

 与謝野氏は、「民主党ポピュリズムで家庭に電気を回せと言うんだけど、生産拠点に電気を回すっていうのは、日本の経済にとって一番大事なこと」と強調した。

記者: Mitsuru Obe
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