古川戦略相:「課題先進国」日本は世界に成長規範を−識者が復興を議論 (Bloomberg.co.jpから引用)

日本の近未来の参考となる記事だ。復興特区は、東北地方をはじめ日本の景気を増大させる。

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10月19日(ブルームバーグ):東日本大震災からの復興をテーマにしたブルームバーグ・ジャパン・コンファレンスが19日都内で開かれ、40人を超える政界や経済界の有識者が意見を交わした。冒頭の基調講演で古川元久国家戦略担当相(45)は、高齢化や経済などでも諸問題に直面する日本は「課題先進国である」と指摘、新たな成長のモデルを世界各国に示すことが国の役割だと強調した。

震災復興や東京電力福島第一原子力発電所事故の収束を政権の最優先課題と位置付けた古川戦略相は、復興策の目玉である特別区域(復興特区)に新たに立地または新設する企業は、外資を含めて5年間法人税を実質無税にする方針を示した。さらに日本が抱えている財政、エネルギーや環境問題などは世界各国も今後直面するとして、「日本はフロントランナーとして解決モデルを見いだすことが必要だ」と述べた。

今回のブルームバーグ・ジャパン・コンファレンスは、昨年6月のニューヨークでの「Japan Rebuilds(日本再構築)」に続く、日本をテーマにした2回目の会議。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのトーマス・バーン氏も、財政・金融政策が日本の信用格付けにとってかぎになるとの認識を示した。

元財務官の榊原英資青山学院大学教授は日本の国債市場について「向こう5、6年は心配していない」と述べた。公的債務が国内総生産(GDP)の約2倍と主要国で最悪の水準に達しているが、国債の国内消化の裏付けとなる個人金融資産も多いと指摘した。同時に長期的には「解決策は増税だ」として消費税率を現在の5%から15%程度に引き上げるべきだと語った。

円相場について榊原氏は、1ドル=70円台前半への上昇、対ユーロでは1ユーロ=100円の大台を突破する可能性もあると予想した。円高に対しては政府・日本銀行は「政治家の命令」があれば円売り介入するかもしれないが、効果は期待できないと予想。介入が成功するのは米欧との協調体制を築けた場合だけだと説明した。

円高対策、週内に最終取りまとめ

円高対策については古川氏が講演で「総合対応策の最終取りまとめを今週中に行う予定だ」と語っている。急速な円高や回復力の弱まっている海外景気が、日本経済の下ぶれや空前の産業空洞化のリスクを招いていると古川氏は懸念をしている。

経済財政担当相も兼務する古川氏は経済政策での経済連携について「海外の成長市場とのつながりを深めるため、戦略的に推進する」との方針も示した。野田佳彦内閣は21日に復興のための第3次補正予算案の概算を閣議決定、予算案と関連法案を28日に国会提出する予定。

  ドル・円相場はこの日、前日のニューヨーク時間に付けた1ドル=76円82銭から一時76円66銭まで上昇。市場では国内輸出企業の円買いを指摘する声が出ている。

女性を活用

コンビニエンスストア国内2位ローソンの新浪剛史社長は、日本経済成長のために女性の社会進出を促す必要があるとの考えを示した。「サービス産業では介護士、看護師が必要なのに能力の高い女性の多くが家庭にとどまっている」として、日本政府に女性の社会進出を促す施策を要望した。女性採用については「私が先頭に立って採用したいほどだ」としている。

さらに新浪社長は「移民についても検討すべきだ」とも語り、今後高齢化して労働力が不足する中国が移民政策をとる前に、日本も明確な移民受け入れ政策を検討する必要があると強調した。

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更新日時: 2011/10/19 15:47 JST
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